衣装担当の熊谷有芳です。
今回の「~その企画、共謀につき~」はお客様と一緒に共謀して創作するプロジェクトです。
こちらとしてはネタバレを気にせず、創作過程を発信してきました。
ですが、こと衣装については沈黙を貫いてきました。
何か理由があってのことではなく、お見せできるプランも、写真もなかっただけでございました。
それと衣装収集に毎日駆けずり回ってましたので、その余裕もなかったのが実情です。
というわけで、今更ではございますが衣装写真の公開です。
飯田/伊藤圭太
オール自前です。ありがとうございます。スーツが若干小さいように感じたので、衣装合わせの日に減量を命じました。しかし、とんでもない台詞量とテンションを維持し続けるため、伊藤さんの身を案じ、劇場に入ってからはカロリーの摂取を優先させることに。かくして、減量令は解かれたのであります。紺のスーツと紫のネクタイが大人っぽいです。グレーのスーツもお持ちなんですが、それは『わが家の最終的解決』のフリッツで着ちゃいましたので紺にしました。ちなみに上着は劇中で脱ぎます。 |
吉岡/熊谷有芳
グレーのスーツ。シンプルながら襟のパイピングがかわいいです。コンサルタントという職業と融通の利かない性格から、地に足着きまくってる洒落っ気ゼロの女にしました。自分だったら、シャツじゃなくてカットソーとか着たいしそもそもスーツ着たくない(本音)。アクセサリーもないですし、髪型も無難of無難。写真には写ってないですが、鞄もTHEリクルートって感じのおカタイものにしました。腕時計はやや女性らしいものをチョイス。劇中で一度だけ見ます。 |
美友紀/鹿島ゆきこ
「ローカル感出すために地味になりたくない」という冨坂先生のお言葉ありがたく、ド派手になりました。カラースキニーは使いたかったアイテムで、本人の私物。トップス探しに難航しました。実は作中に出てくる架空の都市・咲田市は埼玉県をモチーフとしているのですが、「埼玉県民はヒョウ柄が好き」という埼玉県民の知人の言葉を思い出し「ヒョウ柄を使いたい!」と強く思うようになりました。最初は靴で使おうと思ってたのですが、ラストオフの日にヒョウ柄のトップスを発見したので即買い。靴はこれまた知人の若い主婦が履いてたスケッチャーズのBOBS風のスリッポン。ピアスは鹿島チョイス。結婚指輪アリ。 |
孝夫/山田健太郎
一番苦戦した人かも。最初は黒Tシャツ+チェックシャツって思ってて。たまたま通りがかった商店街の肉屋の兄ちゃんが黒Tシャツ着てたのでそれモチーフに。でも、青年部の中でも若いほうなので、老けて見えたくないので却下に。結果、普段の山田くんに近いスタイルにしました。このなんでもないTシャツを探すのがまた大変で。なんせ彼の胸囲は100㎝超え!アメリカ古着ぽいものがよかったので結果納得できるものになりました。でも肉屋ってたぶんヒゲ駄目ですよね。そこは見た目優先で嘘ついてます。ヒゲ似合うから、山田くん。結婚指輪アリ。 |
関/高木健
ニッカポッカ似合いすぎ。この関さんという役は、実はモデルとなった実在の人物がいます。その方も社長さんでバリバリにスーツを着てらっしゃるのですが、舞台上でスーツを着ても一見して「塗装屋」というのが伝わりづらい。わかりやすくいこうぜという冨坂さんとの打ち合わせによりデフォルメした塗装屋さんになりました。今回、ブルー系の衣装の人が少ないので(いても紺とか)、水色のタオルを首からかけてもらいました。腕まくりがかっこいい。あと山田くんにお借りしたゴツイ腕時計をしてもらってます。結婚指輪アリ。奥さんはロシア人の設定。 |
北野/津和野諒
ううーん、ダサい。いいですねえ。ダサい衣装というのは今まであまりやったことなかったですが、そして今回もダサさを狙ったわけじゃないですが、結果いいダサさに仕上がったと思います。ポロシャツがもう少し明るい色でもよかったのかなという反省はすでにあります。しかしこのポロシャツとジーンズの組み合わせ、ほんとにダサい。靴もいい味出してます。この上着はたんぽぽハウスで105円。困ったらたんぽぽハウスだぜ。 |
持田/前田友里子
はいかわいい。このワンピースほんと買えてよかったです。プランとしては、「レトロなワンピース」「大きめの柄」「幾何学模様」「長い丈」というのはあったんですが、なかなかそんなもの売ってなくて。これは衣装探しの初期に下北沢で見つけたんですが保留してて、ほかでこれ以上いいものに会えなかったので、売れ残ってることを信じてラストオフに再び行ったらセールで超安く買えました。前田に超似合うし大満足です。こういう幾何学模様のワンピースいいですよねえ。しかもマキシ丈なのもポイント高い。靴は本人私物。台湾の夜市で買ったそうです。アクセサリーもいろいろつけてます。 |
小川/矢吹ジャンプ
その独特の体形ゆえに毎度衣装探しに困るジャンプさん。今回も最初に買った大き目のズボンが大きすぎてボツになりました。シャツが水色のストライブなんですが、舞台だとほぼ白なんですよね…これも早くも今回の反省。白っぽい人が多くなってしまった。写真だとわかりづらいですが、白髪メイクしてます。近くで見るとかなり白いですよ。靴は中野のサンモール商店街で買ったオジサンがよく履いてるなんちゃって革靴。ところでこの顔はどういった顔なんでしょう。 |
智美/沈ゆうこ
「幼さ」を出したかった智美ちゃん。マルチカラーのチェックシャツは最初のプラン通り。本当は濃いめのデニムのサルエルパンツを穿かせたかったんですが出会えませんでした。でもこのサスペンダーつきのズボンめちゃくちゃかわいくて気に入ってます。靴は私物のビルケンシュトック。コーディネートが完成した後に、漫画家の卵の知合いに雰囲気がすごく似ていると気づいたので満足しています。ちなみに「幼さ」と書きましたが27歳の設定で吉岡と同い年。まじかよ。見えない。でも現実ってそんなもんですよね。 |
笠原/淺越岳人
「なんか麻のシャツ着てそうじゃない」という冨坂先生のご意見をプランの軸にしました。生成りのリネンシャツと悩んだのですが、どうせなら柄モノにしちまえ!と購入した茶色のチェックリネンシャツ。小川さんの靴と一緒に中野サンモール商店街で買ったオジサンサンダル。ヒゲも冨坂さんの指示で口ひげのみ。めっちゃ似合いますね。そして小川さんより落ち着いた白髪メイクもしています。実は既婚者なので指輪をしているが何の伏線でもない。 |
橘/榎並夕起
ゆきちゃんと一緒に原宿に買い物に行って即決まった衣装。モノトーンでモード系ってのはマストだなと思ってて、とても気に入ってます。わかりづらいですがオールインワン+透け素材のタンクトップの組み合わせです。『時をかける稽古場2.0』クマガイの衣装にオールインワンを使ってからハマっています。謎のバングルはダイソー。手が華奢なので落ちてしまいそうになるそうです。メイクは大人っぽくカーキのシャドウを使い、カーキのアイラインを目尻のみハネるようにひいてます。髪は元から入れてたインナーカラー活かしの重めボブに。薄めのクラッチバッグを持っています。ネイルはボルドー。 |
牟田/甲田守
個性的な仕上がりになった牟田さん。シャツの柄が印象的。本当はヨーロッパ古着によくある変な柄シャツ狙ってたんですが、たまたま見つけたTOMMY HILFIGERの謎の花柄シャツがインパクト大で気に入りましたので路線変更。ズボン探しも苦戦しましたが、この何ていうんですかね。ダボっとしたスラックスみたいな。コムデギャルソン好きな人が穿いてそうなやつ。これを探してたんですよ!もちろんギャルソンじゃないです、古着屋で700円くらいです。ラッキー!色付きの眼鏡かける案もあったんですが、ちょっとオモシロくなりすぎちゃうのでやめました。 |
と、以上12人の登場人物の衣装を手がけました!
今回、早替えもないし舞台も現代日本だし楽勝だろと思ってたら、痛い目みました。楽勝な衣装なんて存在しないんだと学びました。
熊谷の汗と涙の結晶です(主に汗)。
ぜひ、劇場で生で見ていただけたらと思います!